住宅ローン変動金利の仕組みと「住宅ローン破綻」リスクの正体とは
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執筆者
一般社団法人 住宅購入支援協会 代表理事
住宅購入カウンセラー
ファイナンシャルプランナー(FP)
宅建業従事者
小日向 邦夫 が執筆しました。

住宅ローンを組む際、多くの人がまず悩むのが「変動金利型」か「固定金利型」かという選択です。2021年の調査では、利用者の約68.1%が変動金利を選んでおり、0.5%を下回るような圧倒的な低金利は、家計にとって非常に魅力的な選択肢となっています。しかし、2024年以降、日本は長らく続いた超低金利時代を抜け、明確な利上げ局面に入りました。FPの視点から、今こそ理解しておくべき変動金利の仕組みと、破綻を避けるための具体的な戦略を解説します。
変動金利を支える「安全装置」
変動金利には、金利が急騰しても即座に返済額が跳ね上がらないよう、2つのルールが設定されています。
- 5年ルール
金利が変動しても、5年間は毎月の返済額を据え置く仕組みです。 - 125%ルール
5年ごとの見直し時、新しい返済額の上限をそれまでの1.25倍までに制限するルールです。
※金融機関によってはこれらのルールがない場合もあります
これらのルールは、一見すると借り手を守る「安全装置」のように見えますが、実は「支払いの先送り」に過ぎません。金利が上がっているのに返済額が変わらない期間、その内訳では「利息」の割合が増え、元金がほとんど減らなくなります。さらに急激な金利上昇時には、月々の返済額が利息分すら下回る「未払い利息」が発生し、ローン完済時に一括清算を求められるという最悪のシナリオも存在します。
シミュレーションで見る「住宅ローン破綻」への道筋
具体的に、借入額3,500万円(35年返済・当初金利0.5%)のケースで考えてみましょう。
もし5年目に金利が2.5%まで上昇した場合、125%ルールによって月々の返済額は約11.36万円に抑えられますが、本来支払うべき額との差が生じ、元金の減少ペースは極端に遅くなります。さらに借入額を4,000万円に増やしたケースでは、より深刻な事態が想定されます。金利が2.5%まで上がった場合、本来の返済額は約13.6万円となりますが、125%ルールによって支払額は約12.98万円に制限されます。 この状況では、元金の返済が極端に滞り、さらに金利が上がれば未払い利息のリスクが生じます。「未払い利息」とは、払いきれなかった利息がローン残高に積み増され、「返済しているのに借金が増えていく」という、住宅ローンにおける最悪の負のスパイラルを指します。
こうした負担増を放置し、家計が圧迫されると「住宅ローン破綻」が現実味を帯びてきます。
最悪のケース「住宅ローン破綻」とは
では金利上昇によって返済が困難になった場合、最終的にどのような事態に陥るのでしょうか。金利上昇局面では物価高騰など他の要因も重なり、家計の圧迫によってローン返済が滞る人が増える懸念があります。実際、昨今の物価高や住宅ローン金利上昇、多重債務などを背景に、住宅ローンの返済が難しくなったという相談件数は急増しており、特に20~30代の若い世代からの任意売却に関する相談がこの数年で1.5倍にも増えています。任意売却とは、ローンの返済が困難になった住宅を競売(強制的な担保処分)にかけられる前に、債権者である銀行と協議してできるだけ有利な条件で物件を売却し、残債務の整理を図る方法です。競売に比べ市場価格に近い金額で売却でき、残債務についても銀行と交渉して減免措置を得られる可能性があるため、住宅ローン破綻の最終手段的な救済策として用いられます。
ローン返済が行き詰まり放置すれば、やがて債務者は期限の利益を喪失し(支払い遅延が続くとローン契約上の権利を失う)、保証会社による代位弁済などを経て担保不動産の競売へと進みます。しかし競売では一般に市場相場の5~7割程度の安値でしか落札されないため、売却後も多額のローン残債が債務者に残ってしまうケースが多いのです。そうなると自宅を失うだけでなく、残った借金だけが手元に残り、生活再建が一層困難になります。金利上昇による返済困難が原因で無理な借り換えやカードローンに手を出し多重債務に陥ると、最終的には個人の自己破産手続きに至るリスクもあります。これがいわゆる「住宅ローン破綻」の深刻な姿です。
住宅ローン破綻を避ける「3つの出口戦略」
変動金利という選択を後悔しないためには、以下の3つの防衛策を今すぐ実行に移してください。
- 「金利上昇」を前提とした予備費の確保
変動金利を選ぶなら、現在の低金利でギリギリのローンを組むのは厳禁です。将来金利が1〜2%上がっても家計が破綻しないラインをシミュレーションし、その余剰分を「金利上昇対策費」として別途貯蓄しておく必要があります。 - 低金利期間中の「戦略的繰上げ返済」
金利が低い今のうちに「期間短縮型」の繰上げ返済を行い、早期に元本を圧縮してください。元本が減れば、将来金利が上がった際の利息負担を劇的に軽減できます。 - 市場動向へのアンテナと「固定切り替え」の準備
「借りたら終わり」ではなく、常に市場金利を注視してください。変動金利が本格的に上がり始め、固定金利との差が小さくなったタイミングは、固定金利への切り替えを検討する一つの目安です。
まとめ:住宅専門ファイナンシャルプランナーの視点
住宅ローンは、多くの人にとって人生で最も長く、大きな契約です。変動金利の低金利という恩恵を受けることは間違いではありませんが、それは「金利変動というリスクを、銀行の代わりに自分が引き受ける」という契約であることを忘れてはいけません。
私からのアドバイスは、常に「最悪のシナリオ」を想定内に置いておくことです。住宅ローン減税などの制度をフル活用して手元資金を厚くし 、万が一返済が苦しくなった際は、延滞する前に早めに金融機関へ「返済条件の緩和(リスケジュール)」を相談する勇気を持ってください。適切な知識と事前の備えがあれば、金利上昇という波も乗り越えていくことができます。大切なのは、金利に振り回されるのではなく、自らの手で返済計画をコントロールし続ける姿勢です。
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ご相談者様の声
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おはなし:Iさん(埼玉県白岡市)
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よくある質問ベスト6
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