ファイナンシャルプランナーが考える、政策金利引き上げがもたらす変動金利への影響と対策
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執筆者
一般社団法人 住宅購入支援協会 代表理事
住宅購入カウンセラー
ファイナンシャルプランナー(FP)
宅建業従事者
小日向 邦夫 が執筆しました。
2024年、物価の持続的な上昇、長期にわたる緩和政策からの脱却、経済成長の促進、そして金利の正常化などを目的とし、ゼロ金利政策が終了をむかえ、8月1日から政策金利は0~0.1%から0.25%に引き上げられました。これにより、私たちの身近なところでは、預金金利や住宅ローンが影響を受けます。特に、現在、変動金利をご検討されている方は、今後の返済への影響が気になっていらっしゃると思います。
今回の記事では、政策金利引き上げがもたらす変動金利への影響と対策についてご紹介します。
変動金利への影響
大手5行(三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行、りそな銀行)が、既存契約の住宅ローンについて、変動金利の0.15%の利上げを決定しており、2024年10月に上昇が始まりました。
しかし、新規契約については銀行ごとに対応が異なっており、据置や特別措置など様々な対応がされているようです。また、大手以外(地方銀行やネット銀行など)では、住宅ローンは主力商品のため、今のところ金利の上げ幅は非常に小さいのが現状です。
2024年10月現在の新規借入時の金利相場を見てみると、下記のようにまだまだ変動金利は他と比べて低くなっています。
金融機関 | 変動金利 | 10年固定金利 |
---|---|---|
三菱UFJ銀行 | 0.35% | 1.11% |
みずほ銀行 | 0.38% | 1.35% |
SBI新生銀行 | 0.42% | 0.95% |
住信SBIネット銀行 | 0.45% | 1.20% |
PayPay銀行 | 0.47% | 1.12% |
auじぶん銀行 | 0.48% | 1.20% |
りそな銀行 | 0.49% | 1.59% |
イオン銀行 | 0.53% | 1.23% |
ソニー銀行 | 0.60% | 1.34% |
三井住友銀行 | 0.63% | 1.70% |
楽天銀行 | 0.83% | 1.71% |
※自己資金の割合等によって、金利が優遇されるケースもあります。
変動金利の見直し時期について
変動金利は、ゼロ金利政策が終了した今年まで、ほとんどの金融機関で約12年以上もの間変動していませんでした。本来変動する時期は、多くの金融機関で4月と10月とされています。そこでゼロ金利政策終了が決定した7月のあと初めて、2024年10月に変動金利が見直されました。見直しが行われた結果、新しい適用金利はその時点で決まりますが、この新金利はすぐに私たちの住宅ローンに適用されるわけではありません。実際にその金利が適用されるのはその後の期間です。
具体的には、4月の見直しによって決定された金利は7月からの6カ月間、10月の見直しによって決定された金利は翌年1月の6カ月間に適用されます。
つまり、4月に見直しが行われた時点で新しい金利が決まり、これが7月から翌年の1月までの返済に反映されることになります。
この期間を利用して、借り手は金利の変動を事前に把握することができ、返済計画を検討し直すことができます。
変動金利の返済額の見直しについて
前述の通り金利の見直しは半年に1回ですが、返済負担の急激な変化を避けるために、多くの銀行で「5年ルール」と「125%ルール」が採用されています。
それぞれ、一見すると、このルールは安心感を与えるように思えますが、実際には注意が必要です。どのような仕組みか、そしてどのような注意が必要かをご紹介します。
【5年ルール】
5年ルールとは、変動金利において、適用金利が半年ごとに見直されても、毎月の返済額は5年間変更されないという仕組みです。
もし5年間の間に適用金利が下がれば問題ありませんが、逆に上昇した場合には影響が出ます。適用金利が上がると、毎月の返済額のうち利息の部分が増えていきます。さらに、適用金利が一定の水準を超えると、利息の部分が毎月の返済額を上回る可能性があります。これを「未払利息」と呼びます。
【125%ルール】
変動金利の「125%ルール」とは、住宅ローンの返済額が金利の変動に応じて一定の範囲内で調整される仕組みの一つです。このルールにより、金利が上昇した場合でも、返済額の上限が設定されており、借り手を過度な負担から守ることを目的としています。
具体的には、借り手が返済している元本に対する利息が、元本返済額を含む毎月の返済額の125%を超えないように設定されます。これにより、金利が上昇しても、借り手の毎月の負担が急激に増加することを防ぎます。
ただし、金利が長期にわたって高い水準にあると、「5年ルール」と同様に「未払利息」が発生する可能性があります。実際の返済額は元金が減少しにくくなることも考慮する必要があります。
【未払利息】
未払利息について具体的にご説明します。
- 返済額の固定
変動金利において、「5年ルール」や「125%ルール」で毎月の返済額が一定のままの場合、適用金利が上昇すると、利息部分が増えます。 - 利息の増加
金利が上昇すると、毎月の返済額の中で利息が占める割合が増え、元金部分に充当される金額が減少します。 - 利息部分が返済額を超える
適用金利が特定の水準を超えると、支払うべき利息が毎月の返済額を上回る状況になります。この場合、元金が全く減らず、逆に未払利息が発生します。 - 未払利息の蓄積
毎月の返済額が不足することで発生した未払利息は、将来の返済時にまとめて支払う必要があります。この未払利息が蓄積されることで、ローン残高が増加し、返済負担が大きくなる可能性があります。
このように、金利の変動や返済条件の影響で未払利息が生じることがあるため、ローン契約の内容や金利の動向をよく理解しておくことが重要です。
今後の対策
今後、さらに金利が上昇していくと考えられますので、変動金利を検討している場合は、以下のような対策を考慮しておくと良いでしょう。
- ローンの見直し
現在のローン契約を確認し、金利や返済条件が自身の状況に合っているかを見直します。 - 資金計画の見直し
家計全体を見直し、金利上昇に伴う返済負担に備えた資金計画を立てます。 - 金利動向の把握
市場金利の動向を定期的にチェックし、将来の金利変動に備えて柔軟に対応できるようにします。 - 繰上げ返済を検討
利息負担を軽減するために、余裕がある場合は繰上げ返済を行うことも有効です。 - 固定金利への切り替え
変動金利型から固定金利型への切り替えを検討することで、金利上昇のリスクを回避できる場合もあります。
これまで低金利で借りることができていた変動金利ですが、金利が上昇する前提で返済計画を考える必要があります。また今後は物価もますます上昇していくことが予想できます。現在、変動金利をご検討されている方は、お早目にライフプランシミュレーションを作成して将来の資金繰りを把握してから住宅購入に臨みましょう。
住宅専門のファイナンシャルプランナー(FP)の視点
住宅ローンが他のローンと大きく違う点は、返済期間が長いということです。低金利の間は金利負担が少ないので長く返すという形でも問題が起こりにくいのですが、金利が上昇していくと注意が必要となります。元本に対して金利の割合が多くなり元本が減りにくくなったり、前述の様な「未払い利息」が発生したりする可能性が高まります。
金利が上昇した場合の対策としては、住宅ローンの期間を短くするという考え方が有効です。
繰上返済(期間短縮型)を行うことでローン期間を短縮することが可能となります。
変動金利を検討される場合には、低金利の間に繰上返済の原資を貯蓄または運用することが必要です。その為には、住宅ローンを組む前に返済計画を考え、場合によっては家計の見直しをすることが重要となるでしょう。
一般社団法人 住宅購入支援協会 代表理事
住宅購入カウンセラー
ファイナンシャルプランナー(FP)
宅建業従事者
小日向 邦夫
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ご相談者様の声
「住宅購入をきっかけに、ライフプランを見直したことで将来の家計にどれくらいのお金が必要なのかも知ることができ、貯金や投資の必要性も実感することができました。」
おはなし:Tさん(埼玉県さいたま市大宮区)
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Yさんご夫婦(埼玉県上尾市)
専門家の声
住宅購入はとても大きな買い物なのでファイナンシャルプランナー(FP)に無料相談できるという仕組み(おうちの買い方相談室)はご相談者様にとって安心できる内容だと思います。
私も注文住宅の購入時に相談させてもらい非常に助かりました。
>>クローム税理士法人HP
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