ファイナンシャルプランナー(FP)と考える住宅ローンの頭金の考え方と返済戦略について

住宅ローン返済のシミュレーションをするとき、まずは頭金をどうするか考えると思います。
頭金を入れることができると、借入額が減り月々の負担が軽くなりますが、最近は低金利を背景に、頭金を設けずに住宅ローンを組む方も増えています。手持ちのお金を全て頭金に使ってしまうと、いざというときの資金が不足し日常生活に支障が出る心配もありますので、弊社でもご相談者様のご希望を伺いながら、頭金ゼロの住宅ローンを選択肢の一つとしてご提案するケースもあります。
ご家庭の状況によって頭金有りと無しのどちらが適しているか変わりますので、選択のご参考に、それぞれのメリットとデメリットをご紹介します。

住宅ローン頭金「有り」「無し」のメリット・デメリット

頭金を設ける場合のメリット

• ✔住宅ローンの借入額が減り月々の返済の負担が軽くなる
• ✔金融機関によっては金利が安くなることがある
• ✔返済利息の総額が減る
• ✔比較的住宅ローン審査に通りやすいと言われている

頭金を設ける場合のデメリット

• ✔手持ち現金が少ないと、追加工事など急な出費に対応できなくなる
• ✔頭金を貯めるまでの準備期間が必要になる
• ✔その準備期間が長引くと物価や金利の上昇が起きる可能性もある
• ✔賃貸物件に住んでいる場合は準備期間中の家賃が発生し続ける

次に、頭金を設けずに住宅ローンを組む場合のメリットとデメリットをご紹介します。

頭金を設けない場合のメリット

• ✔気に入った家に出会ったらすぐに購入準備に入ることができる
• ✔手持ち現金が残せることで、貯蓄や運用、教育資金に現金を回すことができる
• ✔住宅ローン控除の活用枠が広がる
• ✔貯蓄の少ない若い方も住宅ローンが申し込みやすい

頭金を設けない場合のデメリット

• ✔返済総額が増える
• ✔変動金利の場合、金利上昇のリスクを受けやすい
• ✔「頭金あり」よりも審査が厳しい
• ✔月々の返済額が大きい場合、家計負担が重くなる

繰り上げ返済という選択肢

近年、記録的な低金利が続いていますので、頭金を入れずに現金を手元に残して住宅ローンを組み、将来金利上昇が発生したときに一部繰り上げ返済資金として現金を取っておくという返済プランもおすすめです。
繰り上げ返済とは、毎月の返済とは別に元金をまとめて一部返済することをいい、「返済期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があります。

月々の返済額は変えずに、返済期間を短縮する方法です。返済額軽減方式よりも利息軽減効果が高くなるほか、完済日を前倒できるので返済期間後半に収入面で不安がある場合はおすすめです。

返済額軽減型は、返済期間を変えずに月々の負担を軽減する方法です。お子様の進学や親の介護等必要不可欠な出費が続き、毎月の返済額を減らしておくことを第一希望とされる場合は、この返済額軽減型がおすすめです

いずれを選択するにしても、手持ちの現金が減ってしまうことは避けられません。タイミングを間違えると予定外の出費に対応できないということになりますので、借入残高だけでなく貯蓄額にも注目をして、余裕を持った返済計画を立てることが必要です。繰り上げ返済が妥当か、また「返済期間短縮型」と「返済額軽減型」のいずれを選択すべきかなどは、住宅ローンを最初に組む時のようにライフプランシミュレーションを作成することよって見えてきます。住宅購入時に繰り上げ返済を想定して資金繰りを計画していても、ご家庭やお仕事の状況の変化、経済の状況は刻々と変化しています。最新の情報で再度シミュレーションするとより正確な予測が立てられます。
住宅ローンは大きな金額ですので、最新動向に合わせて返済戦略を練り、安心に返済していけるように事前に返済計画を考えてから申込みをすることをお勧めします。

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一般社団法人 住宅購入支援協会 代表理事
住宅購入カウンセラー
ファイナンシャルプランナー（FP）
宅建業従事者
小日向 邦夫

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